私の所属する製造課は、フレキシブルプリント配線板(FPC)の製造を行っています。FPCの製造工程はとても複雑で、基材カット、エッチング、中間検査、熱プレス、外形加工といった様々な工程が存在します。私は製造課に配属となってから、1~2年ごとに製造工程を移りながら経験を積み、現在は新規設備の導入検討や、加工でトラブルが発生した時の対応、さらに工程改善などを担う生産技術チームに所属しています。
FPCの製造工程は多種多様で、エッチングでは銅を腐食させるために化学薬品を用い、また別工程では数千万円する機械を駆使してマイクロメートル単位の微細加工を行います。さらにコンピュータ管理されていてパラメータ設定など標準化された工程もあれば、作業者の経験値が求められる職人気質な工程など様々です。そんな色々な工程を経験できるので、新しい工程に移ったときはすべてが新鮮ですね。また、どうしても加工が上手くいかないときは、別工程や他部署のメンバーと相談・協力しながらその難題を乗り越えていけることも、この仕事の魅力だと思います。
FPCの外形加工などを行うレーザ加工を2年ほど担当していました。レーザ機も数千万円する設備の1つで、光を使って銅箔の表面を数マイクロメートル削ったり、レーザ機の出力を少し上げれば正確に製品の外側を貫通させカットできる優れた機械です。その分、機械の取り扱いが非常に難しく、経験が求められる工程の一つでもあります。時には営業や生産設計の担当者から「こんな加工できる?」といった問い合わせもありますが、自身の経験を活かしその難しい仕様の加工ができたときは最高の気分ですね。
新しい設備の導入は現在の目標の1つです。そのためには、その設備導入のメリットを見極め、機械を立ち上げ、正しく加工できるように調整し、そしていずれは誰もがその設備を扱えるよう作業を標準化するなど、たくさんの課題があります。そんな課題に1人で立ち向かうのではなく、メンバー一丸となって、他社には真似できないようなFPCを作れる工場を築いていきたいですね。
上司と生産技術チームで毎朝朝礼を行っています。そこでは、当日の工場全体の加工量などを把握し、トラブルが発生している工程があればその対応を検討します。また各個人に与えられたテーマに対しても、その進捗状況や問題点などを報告し、メンバーからアドバイスをもらうこともあります。
朝礼が終わると、担当現場に向かい、加工しながらメンバーに設備の操作方法をレクチャーします。時には生産設計の担当者から加工に関する相談があり、どうすれば加工できるか、またどのような生産工程にすればよいかを一緒に検討することもあります。
新しい材料を取り扱う時には、営業や品質保証、生産設計のスタッフとミーティングを行います。また、加工の効率化を図るためにCADのメンバーと打ち合わせを行ったり、トラブルが発生した時には原因を突き止め、再発防止に向けた取り組みや、製品の良品率を上げるための改善案を検討することもあります。
難しい案件があったときは、何パターンも機械のパラメータ設定を行い、その工程のメンバーと一緒に最適な加工条件を探し出します。また、日によっては業者の方が会社に来られて、新しい設備などの打ち合わせを行ったりします。
納期の短い製品があったり加工量が多い時には、残業したり翌日に少し早く出勤して加工を行うこともあります。早く帰れる日は寄り道せずに帰宅して家族サービスしています。